カメラを趣味にしている人なら、「35mm換算で〇〇mm」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
ある程度カメラに詳しい人は当たり前のように使う言葉なのですが、初心者の方にとって「???」となるのは当然ですよね。
また、その説明の際にフルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズという言葉もよく使われます。
これはカメラのセンサーサイズの違いなのですが、こちらも初心者の方は「?????」となりますよね。
今回はその35mm換算についてとセンサーサイズ(フルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズ)の違いについて、わかりやすく解説したいと思います。
目次
センサーサイズとは
カメラを説明する際に語られるフルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズというのは、センサーサイズの違いです。
カメラには、イメージセンサーという光を取り込む機能があり、このイメージセンサーが大きいほど、暗いところの撮影に強くなったり、ボケのきれいな写真を撮ったりすることができます。
レンズ交換をする時に見える、このグリーンの四角がイメージセンサー。フルサイズの場合はミラーに隠れています。
このイメージセンサーの大きさが、センサーサイズです。
カメラに搭載されているセンサーサイズにはいくつか種類があり、一番大きいセンサーサイズが「フルサイズ」です。
センサーサイズはカメラによって違う
すべてのカメラのセンサーサイズが同じ大きさであれば、「35mm換算で・・」なんて言葉を使わなくても済むのですが、センサーサイズはカメラによって違います。
センサーの大きさの違いを画像で表すと、下記のようになります。
センサーサイズが大きい順に、フルサイズ>APS-C>マイクロフォーサーズ。
カメラのセンサーサイズが違う「フルサイズ」と「APS-C」では、同じ焦点距離のレンズでも写す範囲(画角)が異なります。
こちらについて、わかりやすく説明します。
焦点距離とは
焦点距離とは、イメージセンサーからレンズの中心点までの距離のことを指し、この焦点距離は写真を写す際の画角に大きく影響します。
詳しい説明をすると余計にわかりづらいので、焦点距離が長いと画角が狭くなり(望遠)、焦点距離が短いと画角が広くなる(広角)ということを覚えていただければOK。
下記の画像はどちらも同じ位置から撮影しましたが、たとえ同じ位置から撮影しても、レンズの焦点距離の長さで、写る範囲が大きく変わります。
焦点距離が長い(85mmのレンズで撮影) | 焦点距離が短い(23mmのレンズで撮影) |
---|
センサーサイズが変わると、焦点距離が同じでも画角が変わる
先ほど、「イメージセンサーからレンズの中心点までの距離=焦点距離」ということをお伝えしました。
しかし、イメージセンサーの大きさが変わると、たとえ焦点距離の長さが同じであっても、写す範囲に差ができます。
つまり、同じ焦点距離のレンズを使用して、同じ場所から撮影しても、フルサイズのカメラとAPS-Cのカメラでは、写す際の画角が変わります。
下記の画像は、フルサイズカメラとAPS-Cカメラに同じ焦点距離のレンズを付けて、同じ場所から撮影しています。
APS-Cカメラで撮影した方が、フルサイズカメラで撮影した写真よりも望遠で写っていることがわかると思います。
フルサイズカメラに50mmのレンズを付けて撮影 | APS-Cカメラに50mmのレンズを付けて撮影 |
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つまり、同じ焦点距離のレンズを付けていても、カメラのイメージセンサーが違うと、画角が全く違う写真になります。
焦点距離の認識を統一するための計算方法
センサーサイズが変わると、たとえレンズの焦点距離が同じであっても、画角が変わってしまいます。
そのため、例えば「この風景を撮るには、50mmのレンズがちょうどいいよ」という話をしても、
「使っているカメラのセンサーサイズって何ですか?フルサイズなのかAPS-Cかマイクロフォーサーズで違うと思うんですけど…」
ということになりますよね。
そこで、焦点距離の認識をみんなで統一させるために、センサーサイズごとの計算式が設けられています。
計算方法は、
フルサイズ=そのまま
APS-C=フルサイズの焦点距離×1.5
APS-C(キャノン)=フルサイズの焦点距離×1.6
マイクロフォーサーズ=フルサイズの焦点距離×2
となります。
例えば、それぞれのカメラに焦点距離50mmのレンズを装着すると、画角は下記の表のように変わります。
フルサイズ(50mmのレンズを装着) | 50mm | APS-C(50mmのレンズを装着) | 50mm×1.5=75mm |
---|---|---|---|
APS-C(キャノン)(50mmのレンズを装着) | 50mm×1.6=80mm | マイクロフォーサーズ(50mmのレンズを装着) | 50mm×2=100mm |
逆に、「センサーサイズが違うカメラを持っているけれど、同じ画角で撮影したい」という場合は、焦点距離を逆算して同じ距離になるレンズを選べばいいです。
例えば、フルサイズカメラで撮影した時に「焦点距離15mmのレンズがちょうどいい」という場合、同じ画角で撮影するためには、「15mm÷1.5=10mm」のレンズを選ぶことで、同じ画角の写真を撮ることができます。
フルサイズカメラに15mmのレンズを付けて撮影 | APS-Cカメラに10mmのレンズを付けて撮影 |
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35mm換算とは、フルサイズカメラで撮影した時の焦点距離
ここまで話してピンと来た方が多いと思います。
みんながお互いのカメラのイメージセンサーを理解しないまま、「〇mmのレンズが良かったよ!」という話をしても、イメージセンサーごとに画角が変わってしまうので、認識に差がでてしまいます。
しかし、いちいち自分のカメラのイメージセンサーを説明したり、確認したりするのも面倒ですよね。
そこで、皆の認識を揃えるために、「基本的にフルサイズカメラで撮影した時の焦点距離で説明しよう」ということになりました。
この、フルサイズカメラで撮影した時の焦点距離のことを「35mm換算」と呼ぶことに。
つまり、「35mm換算で135mmのレンズを買ってください」と言われたら、
・フルサイズのカメラを持っている人=135mmのレンズを買う
・APS-Cのカメラを持っている人=90mmのレンズを買う
・マイクロフォーサーズのカメラを持っている人=68mmのレンズを買う
というように、「35mm換算」と話すことで皆の認識が統一され、それぞれ自分のセンサーサイズから計算して正しい焦点距離のレンズを選ぶことができるようになります。
※フルサイズカメラで撮影した焦点距離を「35mm換算」と呼ぶ理由については少し長くなるので簡単に説明します。過去にフィルムカメラで使用されていた「35mmフィルム」と同じ大きさでフルサイズカメラのイメージセンサーが作られたので、その大きさをもとに「フルサイズ換算」=「35mm換算」と呼ばれるようになりました。
「35mm換算」という言葉を使わないと、大変なことに
先ほどの計算を、具体的に説明します。
例えば初心者の方がよく買う35mmの単焦点レンズ。
35mmのレンズであっても、そのレンズを付けるボディのセンサーサイズによって、画角が変わります。
フルサイズ=35mm
APS-C=フルサイズの画角×1.5=35×1.5=50mm
APS-C(キャノン)=フルサイズの画角×1.6=35×1.6=56mm
マイクロフォーサーズ=フルサイズの画角×2=35×2=70mm
と、同じ35mmであっても画角が全然違ってしまいます。
下記のような誤解も生まれてしまいます。
僕が言ったのは、35mm換算でいう35mm。
つまり、APS-Cでは23mmだね。
このように、お互いの認識を合わせておかないと、誤解が生まれてしまいます。
そのような誤解を防ぎ、認識を合わせるために、「フルサイズカメラで撮影した時の焦点距離=35mm換算」という言葉を使うようになったのです。
メーカーも販売時に「35mm判換算 〇mmレンズの画角に相当」と書いてくれているので、APS-Cやマイクロフォーサーズ対応のレンズを買う時も安心ですね。
よくわからなかったという人へ
なんとなく理解したけれど、「センサーサイズとか焦点距離とかいまいちわからない…」という方も多いと思います。
そんな方も大丈夫。
まずは、自分のカメラのセンサーサイズを理解すること。
そのうえで、先ほど挙げた計算式の中で、自分のセンサーサイズに合う計算式だけを覚えてください。
フルサイズ=そのまま
APS-C=フルサイズの画角×1.5
APS-C(キャノン)=フルサイズの画角×1.6
マイクロフォーサーズ=フルサイズの画角×2
たとえばAPS-Cのカメラを持っているとすると、下記のようになります。
この部分さえわかっていれば問題ないので、「よくわからない」という方は、計算式だけ覚えておいてください。
自分のカメラのセンサーサイズがわからない場合
カメラ初心者の方は、自分のカメラがフルサイズなのか、APS-Cなのか、マイクロフォーサーズなのかをしっかり理解しておくことが重要です。
このセンサーサイズについてもまとめたいところですが、メーカーによって出しているサイズも様々なので、ご自身の機材をネットで調べるか、販売店に問い合わせるのが一番スムーズです。
ちなみに、私の使用しているフジフィルムX-T3はAPS-Cです。
まとめ
①35mm換算とは、フルサイズカメラで撮影した時の焦点距離のことを指す。
②フルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズは、センサーサイズの違い。
②センサーサイズの違いで起こる画角の認識の違いをなくすために、フルサイズカメラで撮影した時の焦点距離=35mm換算という言葉を使うようになった。
ということです。
特にAPS-C・マイクロフォーサーズの場合は、フルサイズ換算の画角かセンサーサイズに合わせた画角なのか、自分の欲しいレンズについてきちんと確認してから購入する必要があります。
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